介護職のニーズは社会的に高まっていると言えますが、その一方で給料が安いことが問題視されています。高齢者の人命にかかわる職業であり、資格の取得や専門知識を身に付けることが求められる職場でありながら、一般の平均年収よりも安い給与の設定になっていることが多いです。
厚生労働省の統計調査においても、全ての産業の平均月収は約32万円となっていますが、福祉施設に勤めている介護職員やホームヘルパーの月収は約21~22万円が平均です。他の産業と比較して平均的に11万円ほど安いという結果が出ています。
介護は職種の性質を考えても、運営をしている事業所に大きな経済的な負担がかかる特徴があります。施設の経費としては職員への報酬が全体の60~70%、訪問のヘルパーの場合にはコストの90%を人件費に使う必要があります。報酬の金額は保険サービスとして設定されている公定価格があり、サービスの内容に応じて国が決めています。
従って、事業所は利用者へのサービスの効率化を図らなければ利益を上げることが難しくなります。大規模な事業所であれば企業努力によって、必要な福祉用品をまとめて仕入れることによってコスト削減を行うことができるので、小規模の施設と比べたときに従業員への給料に反映させることが可能になります。業種の構造として高額な報酬を支払うことが難しいために、転職を希望する人が多くなっていることが問題と言えます。転職をして給与をアップするには、特定の上級資格を取得することや、夜勤の勤務を引き受けている事業所に勤める方法が一般的です。